日本発、世界初の創薬を目指して、当社では研究開発を進めております。

1.私たちの研究

Chordia Therapeutics株式会社は、確かな科学的エビデンスに基づいて次世代の抗がん薬を開発するスタートアップ企業です。私達の抗がん薬パイプラインは、がんの新たな特徴として見出されたRNA制御異常に注目して構築しています。最新の研究により、がんにおいてRNAの制御が変容していることが新たに見出され、このRNA制御異常が、がんの発生や進行に大きく関与することが示されています。私達は、RNA制御異常を標的とした低分子医薬品を生み出すことにより、がん患者さんの人生を変え得る新たな治療法の開発を目指しています。この治療法の実現のためには、RNA制御異常を伴うがんの深い理解、新しい治療標的の同定、さらには治療効果が顕著に高いと期待される患者さんに新薬を届ける個別化医療戦略の確立が極めて重要です。これらを可能とするべく、次世代のシーケンシング技術、及び最先端の遺伝子編集技術を有する大学等研究機関との共同研究に積極的に取り組んでいます。以上の研究を通じて、Chordiaのパイプラインが、がん患者さんに有益な治療効果をもたらす可能性を追求していきます。

2.がんの新しい特徴”RNA制御ストレス”

がんが有している多様な性質は6つの重要な特徴、増殖シグナルの自律性、血管新生の持続性、転移性、アポトーシスの回避性、半永久的増殖性、増殖抑制シグナルに対する不応答性としてこれまで理解されてきました。最近の研究により、複数の新規ながんの特徴が更に明らかにされており、いずれも多くの種類のがんに共通する特徴であることが分かっています。これらの新規な特徴はDNA損傷ストレス、酸化ストレス、有糸分裂ストレス、タンパク質毒性ストレス、代謝ストレス、及び免疫ストレスといった、がんがストレス表現型と認知されるようになっています。これら既知のがんにおけるストレス表現型に加えて、新たに見出されたのがRNA制御ストレスです。しかしながら、このRNA制御ストレスを標的とするがん治療は、未だ十分に確立されていません。私達Chordiaの研究は、この新たに同定されたがんのストレス表現型である、RNA制御ストレスに焦点を当てています。

3.RNA制御ストレスに焦点を当てたChordiaパイプライン

最近のRNA研究により、未知のRNAの同定、新しいタイプのRNAの修飾、及び新規の遺伝子領域からのRNA合成といった、RNAの新規分子種が明らかにされてきました。がんにおける新たなストレス表現型であるRNA制御ストレスは、これらの新たなRNAを含む異常な蓄積により導かれると想定されています。このようにRNA生物学に関する知見が増える中で、RNA制御ストレスはがん治療の観点から大きな注目を集め新しい局面を迎えていますが、RNA制御ストレスを標的としたがん治療法は未だ開発されていません。Chordiaパイプラインは、RNA制御ストレスを標的とするコンセプト、すなわち異常RNAをさらに生成、蓄積させることで、がん細胞を死に至らしめるコンセプトに基づく低分子薬です。

具体的には、(A)転写(CDK12阻害薬)、(B)スプライシング(CLK阻害薬)、(C)RNA分解(非公開)、および(D)tRNAリクルート(GCN2阻害薬)を標的としたパイプラインを開発中です。これらのパイプラインは、いずれもRNAの成熟プロセスを標的とし、異常なRNAの蓄積を誘導することで、更なるRNA異常ストレスをがん細胞に引き起こします。RNA異常ストレスを誘導する当社のパイプラインは、がん患者さんにとって革新的ながん治療の選択肢となると期待しています。

Illustrated by Chordia